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帯状疱疹後神経痛に桂枝加朮附湯

 患者さんは88歳の女性です。
もともとは首の後ろが痒いということで、娘さんに連れられて来院されました。

 それ以外に、8年前に帯状疱疹になって、それ以来ずっと、帯状疱疹後神経痛で困っていらっしゃいました。
この方は元来冷え性で、痛みは冷えると悪化し、天気が曇りや雨だと悪化します。また、痛みは温めると改善します。
このことから、冷えと湿気によって気血の巡りが妨げられて、「通じざれば則ち痛む」ので痛みを生じていると考えられます。

 今回は神経痛に対して桂枝加朮附湯を処方しました。
桂枝加朮附湯は桂枝湯に蒼朮と附子を加えたものです。

 桂枝湯はシナモンが体を温め、生姜、なつめが胃を活発にして、芍薬が体を潤します。さらに蒼朮が湿気をとり、附子が強力に温めるので、冷えと湿気の関係した神経痛に効果が期待できる方剤です。

 また15年前からうつ病があるようでしたので、鬱に対しては香蘇散を処方しました。

 香蘇散は香附子という気を巡らせる薬に紫蘇の葉とミカンの皮、生姜と甘草が加えられたもので、飲むと気分がすっきりします。

 2週間後には娘さんの印象では痛みが5割位に減ったようでした。

 さらにその1ヵ月後には、痛いと言わなくなって、8年間いろんな治療をしても良くならなかった神経痛が良くなったことをとても喜んでくれました。また、認知症が進んでいたのが、会話も普通になってきたそうです。

 これまでずっと痛みでエネルギーを消耗していたのですが、やっとその重荷から解放されました。また、気血の巡りが良くなったことで、精神面も含めた全身の体調も改善しました。

冷えと湿気の関係した神経痛には桂枝加朮附湯は有力な候補の1つです!
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六味丸で尿の潜血が消失

61才の女性の方がうれしい報告をしてくれました。

20年前から乾癬という皮膚病があって、当院には今年の6月から通院しています。
四肢の伸側と足底に皮疹があります。

話を聞くと、夜間に足の裏がほてるとのことでした。
夏は夜にアイスノンで冷やすほどでした。

寝汗はなく、他には陰虚を示す症状はありませんでしたが、
年齢的にはその可能性は十分に考えられます。
舌を見ると、苔は普通でしたが、舌の色がやや暗紅色で、
陰虚の舌としてはあり得ます。

他に目立つ症状もなかったので、
体を潤すことでほてりをとる六味丸を飲んでもらうことにしました。
内服をつづけてもらったところ、最近ほてりはあまり気にならないくらいまで
改善し、皮疹の赤みも軽減してきています。

それだけではありません。
ここ2年くらい健康診断で尿潜血(++)が続いていたのが、
なんと今年は尿潜血がなくなっていたそうです!!
六味丸、いい薬です。

「水泳のタイムが良くなりました。」

12才の水泳を頑張っている男の子が、年明けからニキビがよくならないので来院しました。
診察すると、確かに顔のニキビが少し目立っていました。

熱がりで、熱がニキビに関係しているのは明らかでした。

がっしり体型で、全身の汗かきで、冷たいものをたくさん飲むところや口内炎がよくできるところは、実熱(体に余分な熱がたまっている)を示唆する所見です。

その一方で、熱がりで寝汗をかいて、夢が多くて、よく手足がつるとのことでした。
舌を見ると、舌の色はやや暗い赤色でした。
これらの症状は陰虚(体にうるおいが足りなくなってオーバーヒートになっている)時に出現します。

全体的に陰虚の影響が大きいと考えて、体を潤すことで熱をさます、滋陰降火湯を2週間処方しました。

今日来院して言った最初の一言が
  「水泳のタイムが良くなりました。」
明らかに水泳のタイムが伸びたと言うのです。

意味がよく分からないのでよく話を聞くと、漢方を飲むようになってから
・朝がすっきり起きられるようになった。
・寝汗が3割くらいに減った。
・夢をあまり見なくなった。
・手足がつらなくなった。
そうです。

どうやら体調が良くなったのでその結果として水泳のタイムが伸びたということでした。

漢方治療が本来目指すのが、今回のような
全身が整った結果、いろいろな症状がよくなるという治り方です。
ニキビも改善傾向でした。

朝起きられず、日中もねむい

朝起きられず、日中もねむくて困っている男性が来院しました。
89歳とご高齢ですが、少し耳が遠いくらいで、生活は自立しています。
身長160cm, 体重45kgと痩せています。

気力がなくて日中ぼやっとしているそうです。
日中眠くて仕方がないのは体に余分な水がたまっている(湿)か、
全身を温める機能が低下している(陽虚)の時に見られる症状です。

さらに話を聞くと、
冷えがあって腰とひざが痛い(腎陽虚)
食欲がない(胃腸の機能低下すなわち脾気虚)、
とのことでした。

むくみもなく、余分な水(湿)の存在を示す所見はないので、
今回の眠気の原因は温める機能の低下(陽虚)によるものと思われます。

陽虚に対して使う方剤には
八味地黄丸、牛車腎気丸などの方剤がありますが、
これらの方剤に含まれる地黄が胃にさわりそうです。
むくみがないので真武湯もしっくりきません。
そこで、脾気虚を改善し、腎陽虚の改善も期待できる大防風湯を飲んでもらうことにしました。

1週間飲んでもらったところ、
「朝起きてさっさと仕事ができるようになった。」
「日中の居眠りも少なくなった。」
「腰痛で今まで温めたり湿布したりしていたが、何もしなくても良くなった。」
そうです。
食欲はまだ今ひとつとのことでしたが、内服して特に問題はなく、少し続けてもらうことにしました。
大防風湯、恐るべし。

手のひび割れと湿疹が六味丸で改善

アトピー性皮膚炎の7才の男の子です。
以前から顔や体も乾燥気味ですが、
特に手の甲がガサガサして赤くなって困っていました。
なかなか症状のコントロールが難しく、
手にはストロングクラスのステロイドを使わざるを得ない状況が続いていました。

身長120cm , 体重30kg で、どちかというと色白のぽっちゃり型です。
熱がりで汗かきで、夏は冷たい水をたくさん飲みます。
夏の暑いうちは、熱を冷ます白虎加人参湯と、
ストレス対策の抑肝散で何とか落ち着いておりました。

冬になると皮膚の乾燥が悪化して、
指の腹にもひび割れができて痛くて困るようになりました。
話を聞くと、夜には必ず布団を蹴っ飛ばして寝ている事が判明しました。
寒くても足は布団の外に出して寝るそうです。
夜に足の裏が熱く火照るのは、
「陰」(体を潤す成分)が虚している(足りない)時、
すなわち陰虚の時に見られる症状の1つです。
舌を見ると、色はやや暗い赤色で、苔は少なめでした。
舌の所見は陰虚として矛盾しません。

そこで、陰虚に対して六味丸を追加したところ、
内服して1週間で指の腹が割れなくなって、手の甲の赤みも良くなったそうです。
塗り薬もそれまで使っていたステロイドは使わず、
なんと保湿剤を塗るだけで大丈夫になりました。

よかったよかった。

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